2013年09月27日

「オフノート・東郷和彦」総目次


【PUBLICITY 1951】2013年9月27日(金)
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▼東郷和彦さんのロングインタビューを終えて、思ったことを
幾つかメモしておきたい。

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2013年09月24日

東郷和彦42止/歴史認識とアメリカ

 
【PUBLICITY 1950】2013年9月24日(火)
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【オフノート】東郷和彦42止
〈歴史認識とアメリカ〉
――――――――――――――――――――――――――――
festina lente.

ゆっくり急げ。
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月23日

東郷和彦41/大学教育の経験

【PUBLICITY 1949】2013年9月23日(月)
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【オフノート】東郷和彦41
〈大学教育の体験〉
――――――――――――――――――――――――――――
tantumu scimus,quod memoria.

我々は、我々が記憶せるもののみを知る。


キケロ
―――――――――――――――――――――――――――― 

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2013年09月22日

東郷和彦40/新しい領土問題・沖縄と福島


【PUBLICITY 1948】2013年9月22日(日)
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【オフノート】東郷和彦40
〈新しい領土問題――沖縄と福島〉
――――――――――――――――――――――――――――
absurdum est ut alios regat,qui seipsum regere nescit.


自己を支配することを知らぬ者が
他人を支配するは不合理なり。
――――――――――――――――――――――――――――


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2013年09月21日

東郷和彦39/三つの領土問題・北方領土2

 
【PUBLICITY 1947】2013年9月21日(土)
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【オフノート】東郷和彦39
〈三つの領土問題――北方領土 その2〉
――――――――――――――――――――――――――――
vires unitae agunt
協力は事をなす。


クレアンテス
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月20日

東郷和彦38/三つの領土問題・北方領土1

【PUBLICITY 1946】2013年9月20日(金)
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【オフノート】東郷和彦38
〈三つの領土問題――北方領土 その1〉


――――――――――――――――――――――――――――
mage cavenda amicorum invidia,quam insidias hostium.

敵の伏兵よりも友人たちの嫉妬に用心すべし。


プブリリウス・シュルス
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月18日

東郷和彦37/ある外交官の一生

【PUBLICITY 1945】2013年9月18日(水)
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【オフノート】東郷和彦37
〈ある外交官の一生〉
――――――――――――――――――――――――――――
in tuum ipsius inspice.

汝自身の胸を見よ。
――――――――――――――――――――――――――――


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2013年09月17日

東郷和彦36/台形史観のおさらい2

【PUBLICITY 1944】2013年9月17日(火)
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【オフノート】東郷和彦36
〈台形史観のおさらい その2〉
――――――――――――――――――――――――――――
nemo enim patriam,quia magna est,amat,sed quia sua.

何人もその祖国を、それが大なるゆえに愛するのではない。
それが自分の祖国なるゆえに愛するのである。
セネカ
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月16日

東郷和彦35/台形史観のおさらい1

【PUBLICITY 1943】2013年9月16日(月)
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【オフノート】東郷和彦 35
〈台形史観のおさらい その1〉


――――――――――――――――――――――――――――
愛国ということは、自分が自分の国を真に愛していれば、他の
国の人々がその国をどんなに愛しているかがわかるということ
です。つまり、愛国主義こそが国際主義に連環していくのです。
愛国主義が排外につながるのは、非常にオカシイ。だが、われ
われの国はかつてそれをやってきた。

竹中労『右翼との対話』50頁、現代評論社
――――――――――――――――――――――――――――


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2013年09月15日

東郷和彦34/三つの領土問題・尖閣 その2

【PUBLICITY 1942】2013年9月15日(日)
offnote@mail.goo.ne.jp
@offnote_


【オフノート】東郷和彦 34
〈三つの領土問題――尖閣 その2〉


――――――――――――――――――――――――――――
ne parcas,ne spernas.

容赦するなかれ、軽蔑するなかれ。
――――――――――――――――――――――――――――


【いまは「戦時下」といってもいい事態】

――尖閣問題も歴史問題であり、竹島問題も本来、歴史問題で
あり、さらに慰安婦問題とダブルパンチになっているわけです
が、国内の論調についてうかがいたいと思います。ネットの中
には、東郷さんを左翼呼ばわりしている人がいます。田母神さ
んの信奉者です。

東郷 そうでしたか(笑)。

――これはすでに右翼とか左翼とかの区分けに意味がなくなっ
ている象徴的な出来事だと思います。

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2013年09月14日

東郷和彦33/三つの領土問題・尖閣 その1

【PUBLICITY 1941】2013年9月14日(土)

【オフノート】東郷和彦 33
三つの領土問題――尖閣 その1
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@offnote_


▼今号と次号とは、東郷さんが「戦後の日本外交史上、最大の
失態」と定義する尖閣諸島問題について。

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2013年09月13日

東郷和彦32/三つの領土問題・竹島

【PUBLICITY 1940】2013年9月13日(金)

【オフノート】東郷和彦 32
三つの領土問題――竹島
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▼東京五輪が決定する前日、讀賣新聞に「両陛下、地震展を見
学」というベタ記事が載っていた。天皇と皇后が9月6日、上
野にある国立科学博物館の「日本地震学の基礎をつくった男『
ジョン・ミルン』」を見学したという。

天皇は「最初に地震計が作られたのは日本なのですね」とコメ
ントしたとのこと。

それだけの記事なのだが、どうも気になった。

▼東郷和彦さんのロングインタビューは、ここから「三つの領
土問題」についての検証が始まります。


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2013年09月11日

東郷和彦31/歴史とは人間の努力

【PUBLICITY 1939】2013年9月11日(水)

【オフノート】東郷和彦 31
歴史とは人間の努力
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▼2020年の東京五輪開催が決まったね。

「新種目に『水かき』を要望します。」 東京電力

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2013年09月10日

東郷和彦30/個人主義と全体主義の間で

【PUBLICITY 1938】2013年9月10日(火)
【オフノート】東郷和彦 30
個人主義と全体主義の間で
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▼東京は、ぐっと涼しいです。30度でも涼しく感じる。なに
しろこの夏は39度とかになりましたからナ。やっぱりニッポ
ンは、ちょっとずつ亜熱帯化してるのかナ?


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2013年09月09日

東郷和彦29/「統帥権」雑感

【PUBLICITY 1937】2013年9月9日(月)
【オフノート】東郷和彦 29
「統帥権」雑感
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▼「メルマ!」にコメント欄があるってことを、ちょっと前に
知った。
――――――――――――――――――――――――――――
投稿日時:2013/06/09 9:59 投稿者:
投稿された記事: 【PUBLICITY】1931:読者の物語~貧困と自
由をめぐって(1)

久々の発行でも読者数が減らないのはさすが。
――――――――――――――――――――――――――――


▼どなたか存じませんがありがとうございます。
気まぐれなメルマガですが、気長に、どうぞよろしく。

▼東郷和彦さんへのロングインタビューの第29回。
統帥権についての註です。

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2013年09月08日

東郷和彦28/戦争と道義心の不足

【PUBLICITY 1936】2013年9月8日(日)
【オフノート】東郷和彦 28
第4章:黒い瞳の国~East Asia
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▼東郷和彦さんの「オフノート」は、ぼくのせいで随分完結さ
せるのが延びてしまった。東郷さんにお詫びしたい。

そしてその間、領土問題をめぐっていろいろなことが起き、と
ても大変なことになっている。あらためて話をうかがい、歴史
観をめぐる話も含めてまとめた。

このなかには、日本外交の真ん中を歩いてきた人だからこそ訴
えうる主張があるが、それは現在の日本政府の考えを補強する
ものもあれば、日本政府の主張と相容れないものもある。その
どれもが「メモリーの息づいたロジック」であるとぼくは感じ
た。

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2009年05月22日

東郷和彦18/アリストテレス革命2


――――――――――――――――――――――――――――
だが、寛容の扉は閉ざされようとしていた。

ルーベンシュタイン『中世の覚醒--アリストテレス再発見か
ら知の革命へ』398頁
小沢千重子訳/紀伊国屋書店/2008年
原著は2003年
――――――――――――――――――――――――――――

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2009年05月21日

東郷和彦17/アリストテレス革命1


――――――――――――――――――――――――――――
智(ソピア)は昼の世界に安ろうとも、
愛智(ピロソピア)はいつも暁遠き夜のなげきをもつのである。

井上忠「アリストテレスの『有』把握」
『根拠よりの挑戦──ギリシア哲学究攻』250頁
――――――――――――――――――――――――――――

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2009年05月20日

東郷和彦16/恩師との対話


――――――――――――――――――――――――――――
真の権威はいつまでも開いていなければならない。真の権威は
、深い自己把捉により、また他の権威との交通において、変化
するものである。

誤れる権威は、交通を断絶し、自分自身だけに関心をもち、真
理を、一つの排他的な真理を所有していると思いこみ、仮象に
おいて他人と語り、ただ自らの真理を拡張しようと欲する。他
人には聴かせるべきであって、検討させるべきではない。

しかし、交通の断絶する所、そこには究極において暴力と戦争
とが存在する。

ヤスパース「自由と権威」
『ヤスパース選集 21』60-61頁
理想社/斎藤武雄訳
1951年、スイス・ギムナジウム校長会議での講演
――――――――――――――――――――――――――――

【16~恩師との対話、12世紀ルネサンス考】

【註】
▼16から18の3回は、前回からの流れに沿って、外交の話
を少し迂回する。そして、外交に限らず、いわゆる「実務」に
おける哲学、思想の重要性について考えてみたい。

それぞれの実務において、表面的にはまったく関係ないのだが
、知らない間に、実は決定的な契機になっていた──それが哲
学や思想の力なのだろうと思うからだ。

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2009年05月19日

東郷和彦15/「弓」を引く力


――――――――――――――――――――――――――――
disce ut semper victurus,vive ut cras moriturus.

汝が永久に生くるかのように学べ。
汝が明日死するかのように生きよ。
――――――――――――――――――――――――――――

【15~「弓」を引く力、その源泉】

──「51対49」の話は、『秘録』のみならず、英語で出版
された本(『Japan's Foreign Policy, 1945-2003: The Quest
For A Proactive Policy
』)の結論でも紹介されており、この2冊の最大の共通点にな
っているわけですが、どのような意図があったのでしょう。

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2009年05月18日

東郷和彦14/「独善」を避けよ!


――――――――――――――――――――――――――――
jus summum saepe summa est malitia.

極端なる正義は、しばしば極端なる邪悪なり。
――――――――――――――――――――――――――――

【14~「独善」を避けよ!】

──『歴史と外交』では、河野談話や村山談話が一つの均衡点
として働きうると考えておられますね。しかし、実際にはなか
なか作動しない。日本社会は、公的な決定を軽んじがちなので
しょうか。

東郷 その問題提起は、少し違うと思います。

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2009年05月16日

東郷和彦13/嫌米バックラッシュ


――――――――――――――――――――――――――――
non solum scienta quae est remota a justitia,
calliditas potius quam sapientia est appellanda;
verum etiam animus paratus ad periculum,si sua cupiditate,
non utilitate communi impellitur,
audaciae potius nomen habet quam fortitudinis.

正義を離れた知識は、智と称するよりは、むしろ怜悧と称せら
れるべきのみならず、なおまた、危険に対して覚悟する勇気は
、もし、一般的利益によってではなく、自己の欲によって駆ら
れるならば、剛毅の名よりは無謀の名を受ける。

キケロ
――――――――――――――――――――――――――――

【13~右か、左か。「嫌米」のバックラッシュ】

──この「慰安婦問題」の顛末と関係していると思うんですが
、『歴史と外交』では、自分の立ち位置が、「真ん中より少し
右」から、「真ん中より少し左」へ移動した、という自己認識
を記されていますね。


――――――――――――――――――――――――――――
私のものの見かたが、いまの日本の思想界のなかで、どのあた
りに位置しているのかは、自分ではよくわからない。便宜的に
いうならば、外務省で仕事をしていたころは、真ん中より少し
右にいるのかなと思っていたが、いま、書店にならぶ本を見れ
ば、むしろ真ん中より、少し左にいるのかなと思う。

『歴史と外交』303-304頁
――――――――――――――――――――――――――――


──もしそうなら、最近は、この思いは強まっているのではな
いでしょうか。

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2009年05月15日

東郷和彦12/情報戦の敗北事例


――――――――――――――――――――――――――――
安倍総理の歴史観には、小泉総理よりも明確な「日本の名誉を
守る」という視点があった。しかしながら、それが一方的で単
純な政策の形成としてあらわれれば、中国、韓国、ひいては米
国とのあいだで、不毛・無用・消耗でしかない歴史戦争を引き
起こす危険性があった。

その結果は、おおむね予想がついた。一九四五年に軍事的にす
べてを失った経験の反復である。歴史問題をめぐる新たな対中
対米同時戦争によって、こんどはすべてを文化的に失う危険性
があった。

東郷和彦『歴史と外交』15頁
――――――――――――――――――――――――――――
 
 

【12~情報戦における敗北の事例】

 
【註】
▼今号はほとんどすべて引用のみである。

2007年、アメリカの下院議会で日本への謝罪要求の決議案
が採択された。外交や交渉という、人間の営みについて考える
うえで、この典型的な事例から学びうることは多いが、東郷さ
んの意見は、『歴史と外交』にほぼ言い尽くされている。当該
箇所を引用しよう。

まず、決議案採択の前に、アメリカで行われたシンポジウムに
て。

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2009年05月12日

東郷和彦11/外交の真髄


----------------------------
(祖父・東郷茂徳をめぐる)経験によって私は、外交は現在の
課題に答えるだけではなく、過去・現在・未来という歴史に対
して答えるものを持たなければいけないと確信するにいたった。

現在の課題は喫緊のものとして、国民すべてに理解されやすい
。未来の課題も、子供のための幸福という視点にたてば想像力
が及びやすい。

しかし、過去の世代、少なくとも私たちの祖父や父の世代が何
をなそうとし、何に失敗し、何を悔い、何に苦しんできたかと
いうことを正確に把握し、その経験を現在の外交に生かす、そ
ういう政策が実施できてこそ、ほんとうに深みのある外交が実
現できるのではないだろうか。そういう歴史観に立脚してこそ
、日本は国家の名誉と尊厳をまっとうし、世界に尊敬される外
交を実現できるのではなかろうか--。

東郷和彦『北方領土交渉秘録』385-386頁
----------------------------

【11~外交の真髄】


──和彦さんの双子のお兄さんである茂彦さんが書かれた、『
祖父 東郷茂徳の生涯』(文藝春秋)を読んで知ったのですが
、茂徳さんが日本外務省の“最初のソ連課長”で、はからずも
和彦さんが“最後のソ連課長”になったんですね。

東郷 私も、この本を読んで初めて知りました(笑)。

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2009年05月11日

東郷和彦10/日本の地盤沈下


――――――――――――――――――――――――――――
「ゆでガエル症候群」という説がある。沸騰するお湯に放り込
まれたら、カエルはすぐに飛び出して命は助かる。しかし、ぬ
るま湯に入れると居心地がよいものだから、ゆっくりと水温が
上がっていっても、何が起きているか気づかない。

そのうちにカエルはゆだってしまうのだ。

アレックス・カー『犬と鬼 知られざる日本の肖像』369頁
新潮社、2002年4月25日第1刷
――――――――――――――――――――――――――――

【10~日本の地盤沈下/ゆでガエル症候群】

──日本は国際社会のなかで地盤沈下していると言われますが
、東郷さんも、そう感じますか。感じるとするならば、すぐ思
い浮かぶ実例はありますか。

東郷 この10年間、日本の国際社会における地位は明らかに
低下している。地盤沈下しています。

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2009年05月10日

東郷和彦09/職業としての外交


――――――――――――――――――――――――――――
quis,quid,ubi,quibus auxiliis,cur,quomodo,quando?

誰が、何を、何処にて、如何なる助けによって、
何故に、如何に、如何なる時に。
――――――――――――――――――――――――――――

【09 第2章:職業としての外交】

──まず、第1章の補足として、東郷さんの国家に対する感情
についてうかがいたいのですが、『歴史と外交』では、次のよ
うに回想しておられます。

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2009年04月15日

東郷和彦08/戦い方のパターン


――――――――――――――――――――――――――――
pareo,non servio.

私は従う、屈服はせず。
――――――――――――――――――――――――――――

──北方領土問題について、こう書かれていますね。

――――――――――――――――――――――――――――
北方領土問題は、日本が太平洋戦争をいかにして戦い、いかに
して敗戦をむかえたかという歴史に直結する、民族の心の痛み
の問題である。具体的には、一九四五年の春から秋にかけて日
本とソ連の間でおきた様々な不幸な出来事に、そのすべての根
源を有する。

秘録384頁
――――――――――――――――――――――――――――


東郷 はい。結局、対ロシアの交渉に従事する外務省職員の最
大の使命は、北方領土返還であるわけです。

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2009年04月14日

東郷和彦07/省内の力学

――――――――――――――――――――――――――――
humanas actiones non ridere,non lugere,
neque detestari,sed intelligere.

人間の行動を嘲らず、悲しまず、憎みもせず、
されどそれを解せんとす。

スピノザ
――――――――――――――――――――――――――――

──領土交渉の苦闘とともに、外務省内でとられた東郷さんの
振る舞いに、ぼくは関心を持ちました。

当時の省内での「力学」は、当然、鈴木さんへの傾斜と非難中
傷との間で動いていたのだと思いますが、実は、交渉の内容と
あまり直接に結びつけて考えると、現実とのズレが出てくるの
かも知れない、とも感じました。

東郷 私も、おっしゃるとおりだと思いますよ。

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2009年04月10日

東郷和彦06/メディアとつきあう法

――――――――――――――――――――――――――――
omnia prius verbis experiri,quam armis,sapientem decet.

武器をもってよりは、
先ず言葉をもって万事を試みることが、
賢者にはふさわしい。
――――――――――――――――――――――――――――

──マスメディアとのつきあい方について、主に外交の当事者
としての経験から、また、発信者として気をつけたことについ
て、うかがいたいと思います。が、その前に。

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2009年04月08日

東郷和彦05/完膚なきまでの敗北

――――――――――――――――――――――――――――
nil deterius familiari inimico.

家の中の敵より以上に何ものも恐ろしきものなし。
――――――――――――――――――――――――――――

【註】
▼東郷さんにとっての、日ロ交渉のすべてが終わった。

今号は、『秘録』からの三つの引用を紹介したい。

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2009年04月07日

東郷和彦04/島が一番近づいた日

 
――――――――――――――――――――――――――――
libenter homines id quod volunt credunt.

人間は彼らが欲することを好んで信ず。

ジュリアス・シーザー
――――――――――――――――――――――――――――

【註】
▼東郷さんの、北方領土問題についての基本的な主張は、以下
の文章に要約されている。今回、直接話を聞いても、これに付
け加えるべきことは殆どない。


――――――――――――――――――――――――――――
一つだけ強調しておきたいことは、私たちの主張はあくまで四
島返還が最終的な目標であり、二島返還でいいという考えはど
こにもなかったということだ。

イルクーツク以後の交渉が速やかに進展したら、国後・択捉に
ついて、日本側に満足のいく結論にいたったかもしれない。交
渉の結果、仮にそうならなければ、交渉をそこで打ち止めにす
ればよい話であり、日本側としてなにも失うものは無かった。

やれるだけの交渉をすることは、交渉担当者の義務であり、責
任でもあると、私たちは考えていた。

にもかかわらず、当時、「鈴木一派は『二島先行論』を掲げて
いるが、それでは残りの二島を放棄したも同然だ」などとして
、多くのマスコミと有識者から批判された。

私からすれば、こうした批判で交渉のプロセスを止めようとし
たのは、誤解の上に組み立てられた議論だったと言わざるを得
ない。

また、その根底には、「四島一括返還」という錦の御旗の下で
断固たる主張を続けていさえいれば、国内的に批判されずに済
むという、一部外務官僚の事なかれ主義も感ぜられたというの
が、今日にいたるまで私が抱いている率直な感想である。

秘録47-48頁
――――――――――――――――――――――――――――

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2009年03月28日

東郷和彦03/「声」が通らない

――――――――――――――――――――――――――――
duobus litigantibus tertius gaudet.

二人が相争う時、第三者は悦ぶ。
――――――――――――――――――――――――――――


──当時、野中広務さんの発言や、鈴木宗男さんと末次一郎さ
んの対立も生じてしまいました。

東郷 そうです。

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2009年03月27日

東郷和彦02/国内政治風景の変化

――――――――――――――――――――――――――――
hoc fonte derivana clades in patriam populumque fluxit.

この源より生じたる禍は祖国及び国民を襲えり。

ホラティウス
――――――――――――――――――――――――――――
 


──2000年の4月に、鈴木宗男さんが訪ロし、プーチン大
統領と会いますね。小渕さんが倒れた直後です。東郷さんは外
務省欧亜局長でした。あの前後で、何が起こっていたのか、そ
こからうかがいたいと思います。


――――――――――――――――――――――――――――
四月二日の夜、鈴木氏から、訪ロに同行することになっていた
私の自宅に電話があった。

「総理が倒れられた」

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2009年03月26日

東郷和彦01/透明なビニールの中で


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mitte superba pati fastidia,spemque caducam despice;
vive tibi,nam moriere tibi.

〔主人の〕傲慢なる軽侮を忍ぶことをやめよ、
而して滅びやすき希望を軽んぜよ、
汝のために生きよ、何となれば汝は
汝のために死すべきが故に。

セネカ
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