2013年11月22日

「人間」の境界線/沖縄の絶望

【PUBLICITY 1953】2013年11月22日(金)
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▼下記の文章、まだ発信していなかったっぽい。やれやれ、何
ヶ月前に元のメモを書いたのか、自分でも忘れてしまった。た
ぶん夏。昨今の沖縄をめぐるマスメディアについての雑感です。

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2013年11月21日

「2013年に読んで圧倒された本」を教えて下さい

offnote@mail.goo.ne.jp

▼さて。本誌読者の皆さんに、久しぶりに「オススメ本」を教
えていただきたいと思います。テーマは

「2013年に読んで圧倒された本」

まず、ぼくのオススメ本を挙げておくと、じつは去年読んだ本
なのだが(殴)、断然、

アニエス・アンベール『レジスタンス女性の手記』東洋書林
石橋正孝訳。3990円
(高え! 古本もある)

である。正直、2012年に邦訳されたこの本に圧倒されて、
ぼくはメルマガで自分の文章が書けなくなった。こりゃ児戯に
等しいナ、と思っちまったんですね。

1=固有名詞の密度と、2=どうしても「それ」を書かねばな
らない極私的な理由。『レジスタンス女性の手記』は、優れた
ノンフィクションに共通するこの二つの条件を完璧に満たして
いる。そして、

ナチスを通して垣間見える「国家」の狂気。
超人的な記憶力と執念から浮き彫りになる「人間」の尊厳。

この二つを、「これでもか」と体感させてくれる。近い将来、
ニッポンの学校教育に新設されるらしい「道徳」なる科目の教
科書に、ぼくならこの一冊を選定しますナ。「戦争の中身」に
興味ある人なら、まず買って損はない一冊です。

▼ということで、ジャンル一切不問、皆さんお一人お一人にと
っての「圧倒された本」、よかったらその理由を教えてくださ
い。約5000人の読者と共有したいと思います。


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(読者登録数)
・Eマガジン 4703部
・まぐまぐ 81部
・メルマ! 68部
・AMDS 22部

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2013年10月10日

人種差別のこれから

▼京都地裁で在特会の人種差別が認められたが、今後さらにひどくなる可能性がある。現場がどれほどひどいか知ってる人は少ない。

▼以下のリンク先は、ぼくはその場にいなかったが、新大久保で遭遇したことがあるから少しはわかる。見れば少しは想像できるだろう。
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2013年09月27日

「オフノート・東郷和彦」総目次


【PUBLICITY 1951】2013年9月27日(金)
offnote@mail.goo.ne.jp


▼東郷和彦さんのロングインタビューを終えて、思ったことを
幾つかメモしておきたい。

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2013年09月24日

東郷和彦42止/歴史認識とアメリカ

 
【PUBLICITY 1950】2013年9月24日(火)
offnote@mail.goo.ne.jp


【オフノート】東郷和彦42止
〈歴史認識とアメリカ〉
――――――――――――――――――――――――――――
festina lente.

ゆっくり急げ。
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月23日

東郷和彦41/大学教育の経験

【PUBLICITY 1949】2013年9月23日(月)
offnote@mail.goo.ne.jp


【オフノート】東郷和彦41
〈大学教育の体験〉
――――――――――――――――――――――――――――
tantumu scimus,quod memoria.

我々は、我々が記憶せるもののみを知る。


キケロ
―――――――――――――――――――――――――――― 

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2013年09月22日

東郷和彦40/新しい領土問題・沖縄と福島


【PUBLICITY 1948】2013年9月22日(日)
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【オフノート】東郷和彦40
〈新しい領土問題――沖縄と福島〉
――――――――――――――――――――――――――――
absurdum est ut alios regat,qui seipsum regere nescit.


自己を支配することを知らぬ者が
他人を支配するは不合理なり。
――――――――――――――――――――――――――――


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2013年09月21日

東郷和彦39/三つの領土問題・北方領土2

 
【PUBLICITY 1947】2013年9月21日(土)
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【オフノート】東郷和彦39
〈三つの領土問題――北方領土 その2〉
――――――――――――――――――――――――――――
vires unitae agunt
協力は事をなす。


クレアンテス
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月20日

東郷和彦38/三つの領土問題・北方領土1

【PUBLICITY 1946】2013年9月20日(金)
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【オフノート】東郷和彦38
〈三つの領土問題――北方領土 その1〉


――――――――――――――――――――――――――――
mage cavenda amicorum invidia,quam insidias hostium.

敵の伏兵よりも友人たちの嫉妬に用心すべし。


プブリリウス・シュルス
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月18日

東郷和彦37/ある外交官の一生

【PUBLICITY 1945】2013年9月18日(水)
offnote@mail.goo.ne.jp


【オフノート】東郷和彦37
〈ある外交官の一生〉
――――――――――――――――――――――――――――
in tuum ipsius inspice.

汝自身の胸を見よ。
――――――――――――――――――――――――――――


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2013年09月17日

東郷和彦36/台形史観のおさらい2

【PUBLICITY 1944】2013年9月17日(火)
offnote@mail.goo.ne.jp


【オフノート】東郷和彦36
〈台形史観のおさらい その2〉
――――――――――――――――――――――――――――
nemo enim patriam,quia magna est,amat,sed quia sua.

何人もその祖国を、それが大なるゆえに愛するのではない。
それが自分の祖国なるゆえに愛するのである。
セネカ
――――――――――――――――――――――――――――

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2013年09月16日

東郷和彦35/台形史観のおさらい1

【PUBLICITY 1943】2013年9月16日(月)
offnote@mail.goo.ne.jp


【オフノート】東郷和彦 35
〈台形史観のおさらい その1〉


――――――――――――――――――――――――――――
愛国ということは、自分が自分の国を真に愛していれば、他の
国の人々がその国をどんなに愛しているかがわかるということ
です。つまり、愛国主義こそが国際主義に連環していくのです。
愛国主義が排外につながるのは、非常にオカシイ。だが、われ
われの国はかつてそれをやってきた。

竹中労『右翼との対話』50頁、現代評論社
――――――――――――――――――――――――――――


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2013年09月15日

東郷和彦34/三つの領土問題・尖閣 その2

【PUBLICITY 1942】2013年9月15日(日)
offnote@mail.goo.ne.jp
@offnote_


【オフノート】東郷和彦 34
〈三つの領土問題――尖閣 その2〉


――――――――――――――――――――――――――――
ne parcas,ne spernas.

容赦するなかれ、軽蔑するなかれ。
――――――――――――――――――――――――――――


【いまは「戦時下」といってもいい事態】

――尖閣問題も歴史問題であり、竹島問題も本来、歴史問題で
あり、さらに慰安婦問題とダブルパンチになっているわけです
が、国内の論調についてうかがいたいと思います。ネットの中
には、東郷さんを左翼呼ばわりしている人がいます。田母神さ
んの信奉者です。

東郷 そうでしたか(笑)。

――これはすでに右翼とか左翼とかの区分けに意味がなくなっ
ている象徴的な出来事だと思います。

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2013年09月14日

東郷和彦33/三つの領土問題・尖閣 その1

【PUBLICITY 1941】2013年9月14日(土)

【オフノート】東郷和彦 33
三つの領土問題――尖閣 その1
offnote@mail.goo.ne.jp
@offnote_


▼今号と次号とは、東郷さんが「戦後の日本外交史上、最大の
失態」と定義する尖閣諸島問題について。

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2013年09月13日

東郷和彦32/三つの領土問題・竹島

【PUBLICITY 1940】2013年9月13日(金)

【オフノート】東郷和彦 32
三つの領土問題――竹島
offnote@mail.goo.ne.jp


▼東京五輪が決定する前日、讀賣新聞に「両陛下、地震展を見
学」というベタ記事が載っていた。天皇と皇后が9月6日、上
野にある国立科学博物館の「日本地震学の基礎をつくった男『
ジョン・ミルン』」を見学したという。

天皇は「最初に地震計が作られたのは日本なのですね」とコメ
ントしたとのこと。

それだけの記事なのだが、どうも気になった。

▼東郷和彦さんのロングインタビューは、ここから「三つの領
土問題」についての検証が始まります。


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2013年09月11日

東郷和彦31/歴史とは人間の努力

【PUBLICITY 1939】2013年9月11日(水)

【オフノート】東郷和彦 31
歴史とは人間の努力
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▼2020年の東京五輪開催が決まったね。

「新種目に『水かき』を要望します。」 東京電力

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2013年09月10日

東郷和彦30/個人主義と全体主義の間で

【PUBLICITY 1938】2013年9月10日(火)
【オフノート】東郷和彦 30
個人主義と全体主義の間で
offnote@mail.goo.ne.jp


▼東京は、ぐっと涼しいです。30度でも涼しく感じる。なに
しろこの夏は39度とかになりましたからナ。やっぱりニッポ
ンは、ちょっとずつ亜熱帯化してるのかナ?


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2013年09月09日

東郷和彦29/「統帥権」雑感

【PUBLICITY 1937】2013年9月9日(月)
【オフノート】東郷和彦 29
「統帥権」雑感
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▼「メルマ!」にコメント欄があるってことを、ちょっと前に
知った。
――――――――――――――――――――――――――――
投稿日時:2013/06/09 9:59 投稿者:
投稿された記事: 【PUBLICITY】1931:読者の物語~貧困と自
由をめぐって(1)

久々の発行でも読者数が減らないのはさすが。
――――――――――――――――――――――――――――


▼どなたか存じませんがありがとうございます。
気まぐれなメルマガですが、気長に、どうぞよろしく。

▼東郷和彦さんへのロングインタビューの第29回。
統帥権についての註です。

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2013年09月08日

東郷和彦28/戦争と道義心の不足

【PUBLICITY 1936】2013年9月8日(日)
【オフノート】東郷和彦 28
第4章:黒い瞳の国~East Asia
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▼東郷和彦さんの「オフノート」は、ぼくのせいで随分完結さ
せるのが延びてしまった。東郷さんにお詫びしたい。

そしてその間、領土問題をめぐっていろいろなことが起き、と
ても大変なことになっている。あらためて話をうかがい、歴史
観をめぐる話も含めてまとめた。

このなかには、日本外交の真ん中を歩いてきた人だからこそ訴
えうる主張があるが、それは現在の日本政府の考えを補強する
ものもあれば、日本政府の主張と相容れないものもある。その
どれもが「メモリーの息づいたロジック」であるとぼくは感じ
た。

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「人間」の境界線/沖縄「屈辱の日」

 【PUBLICITY 1935】2013年9月7日(土)
「人間」の境界線――沖縄「屈辱の日」

offnote@mail.goo.ne.jp

▼明らかに共通点があるのだが、言葉にするのが難しい。そう
感じるコメントを相次いで目にした。何回かに分けてメモして
おきたい。まず、2013年6月20日付朝日新聞に載った、
琉球放送キャスター・比嘉俊次の声を紹介したい。テーマは「
4月28日」、いわゆる「屈辱の日」だ。

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2013年07月06日

日の丸が泣いている その2

【PUBLICITY 1934】2013年7月6日
日の丸が泣いている――人種差別の報道考 その2
offnote@mail.goo.ne.jp


▼在特会の人種差別デモがどれほど凶暴か。現場であの大音響
の罵倒に頭蓋骨を震わせてみないと、本当にはわからないし、
いや、所詮、ニッポン人にはわからないだろう。

「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」「朝鮮人は皆殺し
」(2013年6月8日付東京新聞)、「ゴキブリ、ウジ虫、
朝鮮人。お前らを一匹残らずたたきつぶす」(2013年6月
18日付毎日新聞)、女子中学生が「鶴橋大虐殺を起こせ」と
叫び、大人たちが拍手喝采を送る(2013年7月3日付東京
新聞)。

こうした在特会デモの言葉は、新聞、雑誌にそこそこ報じられ
ている。YouTubeで検索すれば動画も簡単に見つかる。それら
から、少しは現場の恐怖を想像することができる。

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2013年07月02日

日の丸が泣いている その1

【PUBLICITY 1933】2013年7月2日
日の丸が泣いている――人種差別の報道考 その1
offnote@mail.goo.ne.jp

▼新大久保や鶴橋などで猛威を振るう人種差別デモをめぐって
、熟読玩味(じゅくどくがんみ)すべき言葉を見つけた。20
13年6月21日付毎日新聞に載っていた鈴木邦男(一水会顧
問)の談話だ。在特会(在日特権を許さない市民の会)につい
て、鈴木はこうコメントする。

「彼らがどんな言葉を吐いているのか、メディアは包み隠さず
報道すべきだ。報道することが助長するという考えもあるだろ
うが彼らの主張に共感する日本人はほとんどいないはずだ」

「包み隠さず報道すべきだ」と鈴木邦男に言わしめるところに
、在特会の問題の深刻さが浮き彫りになっている。

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2013年06月09日

「ガーディアン」のすごい気迫の紙面

g2jr
アメリカの監視プログラム「PRISM」に関する驚愕スクープ。
これぞ権力を批判するジャーナリズム、って感じの紙面だ。
いやー、すげえわ。
http://twitter.yfrog.com/z/4jg2jrj
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読者の物語~貧困と自由(1)

【PUBLICITY 1931】2013年6月9日
読者の物語~貧困と自由をめぐって(1)
freespeech21@yahoo.co.jp


▼一年以上ご無沙汰していたにもかかわらず、さっそく何通か
メールをいただいてうれしいかぎりであります。

古川琢也さんの『ブラック企業完全対策マニュアル』は、弱
い立場の人が威張る人と闘うための武器であり、書いた本人は
あまり得をしないが、読んだ人は得をするという、良書によく
あるパターンの、売れてほしい一冊である。

なんというか、ニッポン社会の実相がよく露わになっているナ
と感じるんですよ。いちおう、「ブラック企業」という呼び方
で抽象化するのには若干の違和感があるのだが、実情があまり
にもひどいから、まずは知ってもらうことが先決だと考え中。


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2013年06月07日

ブラック企業と過労死防止基本法


▼ずいぶんご無沙汰しております。ってもう一年以上? 時の
経つのは早い。

まとまった時間がとれなくなり、メモがわりにツイッターでつ
ぶやいてばかりいるので(しかもほとんどリツイート)、名前
も「ツブヤキ綴老(テツロウ)」に変えました。

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2013年05月30日

古川琢也『ブラック企業完全対策マニュアル』


古川琢也『ブラック企業完全対策マニュアル 現代の無間地獄』


▼力作。「生き残れ!」という帯も、誠実で切実な前書きも、心に残る。「過労死を防ぐ」ための具体的な知恵が、これでもか、これでもかと詰まっている。「闘争」の書であり、人間としての「尊厳」を守るための一冊だ。

▼「今、ツライ人」こそ手にとってほしいし、「ブラック企業」という言葉を耳で知ってるだけの人にも読んでほしい。無知が悲惨を生む。知が希望を生む。
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2013年05月06日

憲法記念日の各紙社説を読む(1)

◆今号のポイント◆-------------------

▼安倍晋三首相は5月1日、外遊先のサウジアラビアで、夏の
参院選公約に「憲法96条の改正」を掲げた。この動きに警鐘
を鳴らした各都道府県の新聞は、少なくとも30紙に及ぶ。
----------------------------

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2009年05月22日

東郷和彦18/アリストテレス革命2


――――――――――――――――――――――――――――
だが、寛容の扉は閉ざされようとしていた。

ルーベンシュタイン『中世の覚醒--アリストテレス再発見か
ら知の革命へ』398頁
小沢千重子訳/紀伊国屋書店/2008年
原著は2003年
――――――――――――――――――――――――――――

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2009年05月21日

東郷和彦17/アリストテレス革命1


――――――――――――――――――――――――――――
智(ソピア)は昼の世界に安ろうとも、
愛智(ピロソピア)はいつも暁遠き夜のなげきをもつのである。

井上忠「アリストテレスの『有』把握」
『根拠よりの挑戦──ギリシア哲学究攻』250頁
――――――――――――――――――――――――――――

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2009年05月20日

東郷和彦16/恩師との対話


――――――――――――――――――――――――――――
真の権威はいつまでも開いていなければならない。真の権威は
、深い自己把捉により、また他の権威との交通において、変化
するものである。

誤れる権威は、交通を断絶し、自分自身だけに関心をもち、真
理を、一つの排他的な真理を所有していると思いこみ、仮象に
おいて他人と語り、ただ自らの真理を拡張しようと欲する。他
人には聴かせるべきであって、検討させるべきではない。

しかし、交通の断絶する所、そこには究極において暴力と戦争
とが存在する。

ヤスパース「自由と権威」
『ヤスパース選集 21』60-61頁
理想社/斎藤武雄訳
1951年、スイス・ギムナジウム校長会議での講演
――――――――――――――――――――――――――――

【16~恩師との対話、12世紀ルネサンス考】

【註】
▼16から18の3回は、前回からの流れに沿って、外交の話
を少し迂回する。そして、外交に限らず、いわゆる「実務」に
おける哲学、思想の重要性について考えてみたい。

それぞれの実務において、表面的にはまったく関係ないのだが
、知らない間に、実は決定的な契機になっていた──それが哲
学や思想の力なのだろうと思うからだ。

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2009年05月19日

東郷和彦15/「弓」を引く力


――――――――――――――――――――――――――――
disce ut semper victurus,vive ut cras moriturus.

汝が永久に生くるかのように学べ。
汝が明日死するかのように生きよ。
――――――――――――――――――――――――――――

【15~「弓」を引く力、その源泉】

──「51対49」の話は、『秘録』のみならず、英語で出版
された本(『Japan's Foreign Policy, 1945-2003: The Quest
For A Proactive Policy
』)の結論でも紹介されており、この2冊の最大の共通点にな
っているわけですが、どのような意図があったのでしょう。

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2009年05月18日

東郷和彦14/「独善」を避けよ!


――――――――――――――――――――――――――――
jus summum saepe summa est malitia.

極端なる正義は、しばしば極端なる邪悪なり。
――――――――――――――――――――――――――――

【14~「独善」を避けよ!】

──『歴史と外交』では、河野談話や村山談話が一つの均衡点
として働きうると考えておられますね。しかし、実際にはなか
なか作動しない。日本社会は、公的な決定を軽んじがちなので
しょうか。

東郷 その問題提起は、少し違うと思います。

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2009年05月16日

東郷和彦13/嫌米バックラッシュ


――――――――――――――――――――――――――――
non solum scienta quae est remota a justitia,
calliditas potius quam sapientia est appellanda;
verum etiam animus paratus ad periculum,si sua cupiditate,
non utilitate communi impellitur,
audaciae potius nomen habet quam fortitudinis.

正義を離れた知識は、智と称するよりは、むしろ怜悧と称せら
れるべきのみならず、なおまた、危険に対して覚悟する勇気は
、もし、一般的利益によってではなく、自己の欲によって駆ら
れるならば、剛毅の名よりは無謀の名を受ける。

キケロ
――――――――――――――――――――――――――――

【13~右か、左か。「嫌米」のバックラッシュ】

──この「慰安婦問題」の顛末と関係していると思うんですが
、『歴史と外交』では、自分の立ち位置が、「真ん中より少し
右」から、「真ん中より少し左」へ移動した、という自己認識
を記されていますね。


――――――――――――――――――――――――――――
私のものの見かたが、いまの日本の思想界のなかで、どのあた
りに位置しているのかは、自分ではよくわからない。便宜的に
いうならば、外務省で仕事をしていたころは、真ん中より少し
右にいるのかなと思っていたが、いま、書店にならぶ本を見れ
ば、むしろ真ん中より、少し左にいるのかなと思う。

『歴史と外交』303-304頁
――――――――――――――――――――――――――――


──もしそうなら、最近は、この思いは強まっているのではな
いでしょうか。

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2009年05月15日

東郷和彦12/情報戦の敗北事例


――――――――――――――――――――――――――――
安倍総理の歴史観には、小泉総理よりも明確な「日本の名誉を
守る」という視点があった。しかしながら、それが一方的で単
純な政策の形成としてあらわれれば、中国、韓国、ひいては米
国とのあいだで、不毛・無用・消耗でしかない歴史戦争を引き
起こす危険性があった。

その結果は、おおむね予想がついた。一九四五年に軍事的にす
べてを失った経験の反復である。歴史問題をめぐる新たな対中
対米同時戦争によって、こんどはすべてを文化的に失う危険性
があった。

東郷和彦『歴史と外交』15頁
――――――――――――――――――――――――――――
 
 

【12~情報戦における敗北の事例】

 
【註】
▼今号はほとんどすべて引用のみである。

2007年、アメリカの下院議会で日本への謝罪要求の決議案
が採択された。外交や交渉という、人間の営みについて考える
うえで、この典型的な事例から学びうることは多いが、東郷さ
んの意見は、『歴史と外交』にほぼ言い尽くされている。当該
箇所を引用しよう。

まず、決議案採択の前に、アメリカで行われたシンポジウムに
て。

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2009年05月12日

東郷和彦11/外交の真髄


----------------------------
(祖父・東郷茂徳をめぐる)経験によって私は、外交は現在の
課題に答えるだけではなく、過去・現在・未来という歴史に対
して答えるものを持たなければいけないと確信するにいたった。

現在の課題は喫緊のものとして、国民すべてに理解されやすい
。未来の課題も、子供のための幸福という視点にたてば想像力
が及びやすい。

しかし、過去の世代、少なくとも私たちの祖父や父の世代が何
をなそうとし、何に失敗し、何を悔い、何に苦しんできたかと
いうことを正確に把握し、その経験を現在の外交に生かす、そ
ういう政策が実施できてこそ、ほんとうに深みのある外交が実
現できるのではないだろうか。そういう歴史観に立脚してこそ
、日本は国家の名誉と尊厳をまっとうし、世界に尊敬される外
交を実現できるのではなかろうか--。

東郷和彦『北方領土交渉秘録』385-386頁
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【11~外交の真髄】


──和彦さんの双子のお兄さんである茂彦さんが書かれた、『
祖父 東郷茂徳の生涯』(文藝春秋)を読んで知ったのですが
、茂徳さんが日本外務省の“最初のソ連課長”で、はからずも
和彦さんが“最後のソ連課長”になったんですね。

東郷 私も、この本を読んで初めて知りました(笑)。

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2009年05月11日

東郷和彦10/日本の地盤沈下


――――――――――――――――――――――――――――
「ゆでガエル症候群」という説がある。沸騰するお湯に放り込
まれたら、カエルはすぐに飛び出して命は助かる。しかし、ぬ
るま湯に入れると居心地がよいものだから、ゆっくりと水温が
上がっていっても、何が起きているか気づかない。

そのうちにカエルはゆだってしまうのだ。

アレックス・カー『犬と鬼 知られざる日本の肖像』369頁
新潮社、2002年4月25日第1刷
――――――――――――――――――――――――――――

【10~日本の地盤沈下/ゆでガエル症候群】

──日本は国際社会のなかで地盤沈下していると言われますが
、東郷さんも、そう感じますか。感じるとするならば、すぐ思
い浮かぶ実例はありますか。

東郷 この10年間、日本の国際社会における地位は明らかに
低下している。地盤沈下しています。

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2009年05月10日

東郷和彦09/職業としての外交


――――――――――――――――――――――――――――
quis,quid,ubi,quibus auxiliis,cur,quomodo,quando?

誰が、何を、何処にて、如何なる助けによって、
何故に、如何に、如何なる時に。
――――――――――――――――――――――――――――

【09 第2章:職業としての外交】

──まず、第1章の補足として、東郷さんの国家に対する感情
についてうかがいたいのですが、『歴史と外交』では、次のよ
うに回想しておられます。

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2009年04月15日

東郷和彦08/戦い方のパターン


――――――――――――――――――――――――――――
pareo,non servio.

私は従う、屈服はせず。
――――――――――――――――――――――――――――

──北方領土問題について、こう書かれていますね。

――――――――――――――――――――――――――――
北方領土問題は、日本が太平洋戦争をいかにして戦い、いかに
して敗戦をむかえたかという歴史に直結する、民族の心の痛み
の問題である。具体的には、一九四五年の春から秋にかけて日
本とソ連の間でおきた様々な不幸な出来事に、そのすべての根
源を有する。

秘録384頁
――――――――――――――――――――――――――――


東郷 はい。結局、対ロシアの交渉に従事する外務省職員の最
大の使命は、北方領土返還であるわけです。

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2009年04月14日

東郷和彦07/省内の力学

――――――――――――――――――――――――――――
humanas actiones non ridere,non lugere,
neque detestari,sed intelligere.

人間の行動を嘲らず、悲しまず、憎みもせず、
されどそれを解せんとす。

スピノザ
――――――――――――――――――――――――――――

──領土交渉の苦闘とともに、外務省内でとられた東郷さんの
振る舞いに、ぼくは関心を持ちました。

当時の省内での「力学」は、当然、鈴木さんへの傾斜と非難中
傷との間で動いていたのだと思いますが、実は、交渉の内容と
あまり直接に結びつけて考えると、現実とのズレが出てくるの
かも知れない、とも感じました。

東郷 私も、おっしゃるとおりだと思いますよ。

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2009年04月10日

東郷和彦06/メディアとつきあう法

――――――――――――――――――――――――――――
omnia prius verbis experiri,quam armis,sapientem decet.

武器をもってよりは、
先ず言葉をもって万事を試みることが、
賢者にはふさわしい。
――――――――――――――――――――――――――――

──マスメディアとのつきあい方について、主に外交の当事者
としての経験から、また、発信者として気をつけたことについ
て、うかがいたいと思います。が、その前に。

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2009年04月08日

東郷和彦05/完膚なきまでの敗北

――――――――――――――――――――――――――――
nil deterius familiari inimico.

家の中の敵より以上に何ものも恐ろしきものなし。
――――――――――――――――――――――――――――

【註】
▼東郷さんにとっての、日ロ交渉のすべてが終わった。

今号は、『秘録』からの三つの引用を紹介したい。

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2009年04月07日

東郷和彦04/島が一番近づいた日

 
――――――――――――――――――――――――――――
libenter homines id quod volunt credunt.

人間は彼らが欲することを好んで信ず。

ジュリアス・シーザー
――――――――――――――――――――――――――――

【註】
▼東郷さんの、北方領土問題についての基本的な主張は、以下
の文章に要約されている。今回、直接話を聞いても、これに付
け加えるべきことは殆どない。


――――――――――――――――――――――――――――
一つだけ強調しておきたいことは、私たちの主張はあくまで四
島返還が最終的な目標であり、二島返還でいいという考えはど
こにもなかったということだ。

イルクーツク以後の交渉が速やかに進展したら、国後・択捉に
ついて、日本側に満足のいく結論にいたったかもしれない。交
渉の結果、仮にそうならなければ、交渉をそこで打ち止めにす
ればよい話であり、日本側としてなにも失うものは無かった。

やれるだけの交渉をすることは、交渉担当者の義務であり、責
任でもあると、私たちは考えていた。

にもかかわらず、当時、「鈴木一派は『二島先行論』を掲げて
いるが、それでは残りの二島を放棄したも同然だ」などとして
、多くのマスコミと有識者から批判された。

私からすれば、こうした批判で交渉のプロセスを止めようとし
たのは、誤解の上に組み立てられた議論だったと言わざるを得
ない。

また、その根底には、「四島一括返還」という錦の御旗の下で
断固たる主張を続けていさえいれば、国内的に批判されずに済
むという、一部外務官僚の事なかれ主義も感ぜられたというの
が、今日にいたるまで私が抱いている率直な感想である。

秘録47-48頁
――――――――――――――――――――――――――――

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2009年03月28日

東郷和彦03/「声」が通らない

――――――――――――――――――――――――――――
duobus litigantibus tertius gaudet.

二人が相争う時、第三者は悦ぶ。
――――――――――――――――――――――――――――


──当時、野中広務さんの発言や、鈴木宗男さんと末次一郎さ
んの対立も生じてしまいました。

東郷 そうです。

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2009年03月27日

東郷和彦02/国内政治風景の変化

――――――――――――――――――――――――――――
hoc fonte derivana clades in patriam populumque fluxit.

この源より生じたる禍は祖国及び国民を襲えり。

ホラティウス
――――――――――――――――――――――――――――
 


──2000年の4月に、鈴木宗男さんが訪ロし、プーチン大
統領と会いますね。小渕さんが倒れた直後です。東郷さんは外
務省欧亜局長でした。あの前後で、何が起こっていたのか、そ
こからうかがいたいと思います。


――――――――――――――――――――――――――――
四月二日の夜、鈴木氏から、訪ロに同行することになっていた
私の自宅に電話があった。

「総理が倒れられた」

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2009年03月26日

東郷和彦01/透明なビニールの中で


――――――――――――――――――――――――――――
mitte superba pati fastidia,spemque caducam despice;
vive tibi,nam moriere tibi.

〔主人の〕傲慢なる軽侮を忍ぶことをやめよ、
而して滅びやすき希望を軽んぜよ、
汝のために生きよ、何となれば汝は
汝のために死すべきが故に。

セネカ
――――――――――――――――――――――――――――

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2001年08月24日

魚住昭(フリーライター)全1回

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1951年熊本県生まれ。75年一橋大学法学部卒業、共同通信社入社。87年から司法記者クラブに在籍し、リクルート事件などの取材にあたる。96年退社、現在はフリーライター。著書に『特捜検察』(1997年、岩波新書)、『沈黙のファイル』(共著、1999年、新潮文庫)、『渡邉恒雄 メディアと権力』(2000年、講談社)『特捜検察の闇』(2001年、文藝春秋)など。
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▼魚住氏の著書『特捜検察』(岩波新書、1997)のあとがきには、こうある。

「どんな場合でも彼ら(東京地検特捜部、註は竹山)が誇っていいことが一つだけある。それは彼らが金銭や酒色の誘惑とは無縁でありつづけてきたことだ。戦後の高度経済成長下で肥大化し、腐敗してきた日本の官僚機構の中で、特捜部は利権の手垢にまみれなかった希有な組織だと思う。(中略)とにもかくにも、何年も心に温めてきたテーマを書き終えて、私はいま、夏休みの宿題をようやく終えた小学生のようにホッとしている。」(p222)

このくだりには、特捜検察を追い駆け続けた、魚住氏自身の記者としての誇りが垣間見える。

しかし。『特捜検察』の4年後に魚住氏が出した新著のタイトルは、『特捜検察の闇』。“闇”は、“悪徳弁護士”と言われた田中森一(もりかず)が、“司法記者クラブに魚住あり”と謳われた著者自身の“根っこを揺さぶる”ところから湧き起こる。

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