2014年01月09日

読者の物語 サッチャーの自己責任論

【PUBLICITY 1955】2014年1月9日(木)
■読者の物語 サッチャーの自己責任論■
freespeech21@yahoo.co.jp

▼ロンドンのみどりさんのブログ「ロンドンSW19から」から、
力作コラム「サッチャーがフェミニストだって!?」を抜粋しま
した。死去当時のイギリスのテレビの様子がわかって面白い。
ニッポンのマスメディア発の情報の中にはほぼ皆無だった。適
宜改行と▼。

http://newsfromsw19.seesaa.net/article/355880754.html

[知恵袋回答] 2013/4/9 11:38:13

<亡くなられたサッチャー元首相についてどう思いますか?
 ウーマンリブ志向で憧れの存在だっただけにショックです>

▼質問者さまをはじめ、好意的な意見が多いのでとても驚いて
います。日本ではサッチャーの位置づけはやっぱりそんなもん
なんですかねえ。

▼イギリスでは、サッチャーについてはもともと賛否両論(と
いうか、中間の意見などというものは存在しない)なので、亡
くなった日のその晩の放送だというのに、お悔やみもそこそこ、
生放送のニュース解説番組もあらかじめこの日に備えて作って
あった証言番組も、いやまあこれほどとたまげるほど否定的な
意見が矢のように飛び交ってました。もちろん保守党支持者は
これ以上ないほど褒めちぎってますけど。

ネットでも、昼のニュースでサッチャー死亡が伝えられて以降、
フェイスブックやツィッターでは「オズの魔法使い」がぐるぐ
るまわり、ほとんどお祭り状態。たとえばこれ。

悪い魔女が死んだ~、悪い魔女が死んだ~、というお祝いの歌
です。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=9Jn8K8EA7-Q

▼サッチャーがおもに経済と福祉の分野を通じてイギリスに持
ち込んだ哲学(というか「生き方」と言ってもいいかも)は「
自助努力」と「自己責任」です。

サッチャー自身が、

八百屋の娘→公立進学中等学校→オックスフォード大学
→国会議員→野党党首→首相

という絵に描いたような立身出世街道を歩んだ人物であり、自
分がしたこと(自分にできたこと)を国民全員に求めたと言っ
ていいでしょう。

努力さえすればだれでも理想のコースを歩むことができ、そう
ならないのは努力が足りないからだというのが彼女の言い分で、
「運や才能」あるいは「社会システム」の寄与についてはなか
ったことにしたんですね。

▼その結果、第二次大戦後のイギリス政治最大の成果であった
(それが一方で経済低迷の原因にもなったのではありますが)
「だれも不幸にならない社会」の仕組みが取っ払われ、労働者
から誇りが奪われただけでなく、わがままが美徳として奨励さ
れるような現在のイギリス社会になったと言われています。

▼「サッチャーは女性の味方」とか「サッチャーはフェミニズ
ムの推進者」と唱える人の多くは、その理由として「サッチャ
ーの性別は女」以外の根拠を持たないだろうと推測する。

▼確かに(たぶん?)サッチャーは女性であり、双子(ろくで
もないマーク・サッチャーと「密林の女王」キャロル・サッチ
ャー)の母であり、首相になってからは服装に気を使い、毎朝
30分美容師に髪を整えてもらっていたそうだが、それ以外の面
でサッチャーの「女性」性が発揮された場面をあいにく見つけ
られない。

▼サッチャーはメリトクラシー推進者であり、エリート主義者
であり、比較的恵まれないバックグラウンド(たとえば「女性
である」とか「労働者階級出身である」など)から成り上がっ
た人間を強く支持したが、女性の地位向上のために目立った功
績があったわけではない。11年間もの長期政権を維持しながら
一人の女性閣僚も起用しなかった点に、その哲学の一端が読み
取れるだろう。

▼もしサッチャーが女性の地位向上のために何か役立ったとす
れば、「わたしのようになりなさい」がすべてと言ってよく、
それに励まされた人がいたかもしれないだけだ。

▼サッチャー以前にも「鉄の女」と呼ばれた女性政治家がイギ
リスにはいて、労働党の閣僚経験者バーバラ・カッスル(また
はキャッスル)は本物のフェミニストと言えるだろう。
http://en.wikipedia.org/wiki/Barbara_Castle,_Baroness_Castle_of_Blackburn

彼女は、雇用大臣だった1968年、フォードのダゲナム工場で実
施された女性労働者の賃上げ要求ストライキを支持して女性労
働者の地位向上に貢献し、1970年には賃金の性差別を撤廃する
同一賃金法を成立させた。

このストライキと同一賃金獲得(男性の給与の97%)までの女性
たちの行動を描いたのが2010年の英国映画『メイド・イン・ダ
ゲナム』で、3年前に帰国便の機内で何気なく見始めたらあま
りにも面白くてたまげた。

あちこち史実とは違うようだが、ともかく脚本がよく、役者の
演技はうまく、涙あり笑いありで無類に面白いし励まされる。
60年代の庶民のファッションやインテリアや音楽に興味があれ
ば、なお楽しめる。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=DZ509hHkHO8

▼そうか、「11年間もの長期政権を維持しながら一人の女性閣
僚も起用しなかった」とは知らなかった。


freespeech21@yahoo.co.jp

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