▼安倍晋三首相は5月1日、外遊先のサウジアラビアで、夏の
参院選公約に「憲法96条の改正」を掲げた。この動きに警鐘
を鳴らした各都道府県の新聞は、少なくとも30紙に及ぶ。
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▼安倍晋三首相は5月1日、外遊先のサウジアラビアで、夏の
参院選で憲法改正に必要な「3分の2」の勢力確保を目指す考
えを明言した。併せて自民党公約に発議要件を緩和するための
96条改正を掲げる方針も表明した。
▼今年も5月3日前後の県紙社説をネットで読んだ。かつて見
つけた「新聞と国政の法則」は、やっぱ正しかったナと実感す
る。それは、
「讀賣と産経が主張する通りに国政が動く」
という法則である。この法則には
「それ以外の新聞は殆ど全てが反対しているにも関わらず」
という但し書きがつく。
▼自民党は96条改正を掲げて夏の参院選に臨む。この動きに
対して、5月3日前後の社説・論説で警鐘を鳴らした新聞は、
少なくとも30紙に及ぶ。以下の一覧の()内は、各道府県で
のその新聞の購読割合である(讀賣新聞のサイトを参考。小数
点以下は四捨五入)。
いうまでもなく、各県紙のその地域でのシェアは圧倒的だ。
こういう機会でもないと目を通す機会がない。
時代の記録として残しておきたい。
見落としがあったらご教示いただければ幸いです。
▼九州・沖縄
・西日本新聞(福岡県の26%)
「ご都合主義的改正は許されぬ」
・宮崎日日新聞(宮崎県の42%)
「少数意見と96条を考えよう」
・熊本日日新聞(熊本県の43%)
「96条の前に語ることがある」
・南日本新聞(鹿児島県の43%)
「「改憲ありき」で先走ってはならない」
・琉球新報(沖縄県の30%)
「沖縄にも3原則適用を 要件緩和先行は姑息だ」
・沖縄タイムス(沖縄県の32%)
96条改正は本末転倒だ
(佐賀新聞は批判せず)
▼中国・四国
・山陽新聞(岡山県の53%)
「「最高法規」の重みを問う」
・中国新聞(広島県の47%)
「憲法の平和主義 たがを外してはならぬ」
・山陰中央新報(島根県の71%)
「少数者の権利守る政治を」
・愛媛新聞(愛媛県の44%)
「96条改正 立憲主義の精神を捨てるな」(5月1日付)
・徳島新聞(徳島県の76%)
「憲法施行66年 上 立憲主義の意義考えよう」(3日付)
「憲法施行66年 下 生存権や表現の自由守れ(4日付)
・高知新聞(高知県の57%)
「【憲法の改正】時間をかけて考えたい」
(四国新聞はネットで見当たらず)
▼近畿
・京都新聞(京都府の36%)
「立憲主義の根幹壊してよいか」
・神戸新聞(兵庫県の23%)
改憲論議/立憲主義を危うくする96条改正
▼東海・北陸
・中日新聞(東京新聞)
(愛知県の58%、三重県の44%、岐阜県の52%)
「歴史がつなぐ知恵の鎖 憲法を考える」
・岐阜新聞(岐阜県の23%)
「立憲主義、多数決ではない」
・福井新聞(福井県の75%)
「入り口の議論より中身だ」
(中部経済新聞は「改正の是非はここでは論じない」と言明)
(北國新聞と富山新聞は96条改正に賛成)
(北日本新聞は有料で読めず)
▼関東・甲信越
・茨城新聞
「多数決ではない立憲主義」
・神奈川新聞
「立憲主義の堅持は不変」
・信濃毎日新聞(長野県の59%)
「改憲論議 独り歩きにさせない」(5月2日付)
「改正の要件 2/3の重さを考えよ」(5月3日付)
「9条の価値 平和に生きる人権こそ」(5月4日付)
・新潟日報(新潟県の55%)
「平和の理念を見詰めよう」
(下野と上毛はネットで見当たらず)
▼北海道・東北
・北海道新聞(北海道の41%)
「平和国家が問われている」
・河北新報(宮城県の47%)
「震災と憲法/被災住民に響かぬ改憲論」
・東奥日報(青森県の43%)
「「立憲主義」再確認しよう」
・デーリー東北(青森県の17%)
「原則と過去踏まえ議論を」
・秋田魁新報(秋田県の57%)
「国民議論、今こそ高めよ」
・福島民報(福島県の34%)
「【憲法と被災地】まず自由、権利の回復を」
(岩手日報は批判せず。福島民友は取り上げず)
▼全国紙では、
・朝日新聞
「憲法を考える―変えていいこと、ならぬこと」
・毎日新聞
「憲法と改憲手続き 96条の改正に反対する」
・日経新聞は96条先行に批判的だが、「9条改正を堂々と掲
げろ」という論旨。
▼なお、憲法9条改正に賛成している全国紙は以下の3紙。
・讀賣新聞
「憲法記念日 改正論議の高まり生かしたい」
・日本経済新聞
「改憲論議で忘れてはならないもの」
・産経新聞
「統治機構と憲法 間接選挙で参院再生を 「地域主権」は
国の統一そぐ」
▼次号以降で何回かに分けて、
ぼくが注目した論点をいくつか摘要してみたい。
(つづく)