2013年06月10日

読者の物語~貧困と自由(2)

【PUBLICITY 1932】2013年6月10日
読者の物語~貧困と自由をめぐって(2)
offnote@mail.goo.ne.jp


▼浅田さんが訳したサンダース議員の論説の後編。

▼「論理と米粒は何処にでもくっつく」という諺を誰かから聞
いたことがあるが、「自由」という言葉をめぐって「マジかよ、
こんなふうに使うの?」と呆気にとられる文章を目にすること
が多くなったような気がする。

「小泉改革」以降に増えたような気がするが、ニッポンにおけ
る「自由」観の受容と変容について、調べた人はいないもんか
ね。

 

▼以下の論説でも、アメリカの「自由」観の一端を垣間見るこ
とができる。いわく「健康保険を持てない自由」や「大学に行
かない自由」「高い学費に苦しんでいる数百万人に加わる自由」
「十分な食事を得られず既に飢えている数百万人に加わる自由
」。

適宜改行や▼を入れた。注が三つ出てくるが、それぞれ冒頭に
※を入れた。


――――――――――――――――――――――――――――
http://www.janjanblog.com/archives/96376

アメリカの貧困対策はデンマークに学べ
サンダース上院議員の論説(後編)
2013年 5月 31日 09:41

浅田明


▼合衆国の大学教育は今では容易に支払えないほど高くなって
いて平均的大学卒業生は学費として25000ドル以上を借金
しているがデンマークの高等教育は実質的にタダである。それ
は学部だけでなく大学院や医学部についても同じである。

▼気まぐれなグローバル経済のなかでデンマーク政府は労働者
が労働力に対する要求の変化に適した新しいスキルを学べるよ
うな訓練プログラムに十分投資すべきであることを理解してい
る。

また労働者が仕事を失ったとき新たな仕事を見つけるまで十分
な収入が必要なことも理解している。デンマークで労働者が失
業すれば彼または彼女は2年間以前の所得の90パーセントを
失業保険で得られる。ここで給付金は26週以後には停止でき
る。

デンマークでは十分な余暇と家族の時間が良い生活の重要な部
分だと考えられている。デンマークのすべての労働者は4週間
の有給休暇と11日の有給休日を与えられている。合衆国は主
要国の中で唯一労働者に有給休暇を保障していない国である。
その結果我が国の半数ほどの低賃金時給労働者は有給休暇を受
けられずにいる。

▼最近経済協力発展機構(OECD)はデンマークの人達が調
査された世界40国の中でもっとも幸福度が高いことを見出し
た。アメリカは上位10国に入っていない。

タクソーエンセン大使が述べたようにデンマークの社会モデル
は一夜でできたものではない。それは何十年もかけて発展し、
そして一般的には政治的立場にかかわらずすべての政党の政治
的支持を得て来た。

▼一つの理由はデンマークの人達は政治的にも経済的にも活動
的で情報に明るいからだろう。前回の選挙は3週間続きその間
テレビでの宣伝はなかったが投票率は89パーセントだった。

デンマークでは75パーセント以上が職能組合に加入している。
アメリカではアメリカを支配する大企業(注1)と百万長者の
政治的経済的力の結果として我々はアメリカ労働者の経済的向
上に対する継続的で残酷な攻撃を見続けている。

※注1.原文は corporate America. 皮肉を込めた言い方らし
い。

失われた中産階級として労働者が前世紀を通じて手にれていた
利益と保証は今や小さな欠片になった。共和党員とあまりにも
多くの民主党員が社会保障、医療保険、低所得者や身障者のた
めの医療保障(注2)、栄養補給、教育、そしてそのほかの基
礎的必用事項の経費削減を支持している。

※注2.原文は Medicaid. アメリカでは医療保険と訳した
Medicare のほかにこういう制度がある。

同じとき超富裕層はますます豊かになった。労働者の権利、組
合組織の可能性、そして全国労働関係委員会(NLRB)さえ
も今や集団的攻撃にさらされている。

▼アメリカ上院では現在私の右側の議員は“自由”と政府の権
限削減について度々話す。彼らの話が本当に意味しているのは
こうだ。

彼らは毎年45000人が必要な医療を得られなくて死んでい
る国で普通のアメリカ人が健康保険を持てない自由(注」3)
を望んでいる。

※注3.原文では持てない を強調するためNOT(ゴシック体)
と表記している。この段落のほかでも同じ。

彼らは我が国の若者が大学に行かない自由、そして高等教育を
受けられない40万の若いアメリカ人、高い学費に苦しんでい
る数百万人に加わる自由を望んでいる。彼らは我が国の子供や
年寄りが十分な食事を得られず既に飢えている数百万人に加わ
る自由を望んでいる。そしてそれは進む一方だ。

▼デンマークでは自由が何を意味するかについて非常に違った
理解がある。あの国では経済的危険からくる大きな不安を終わ
らせるための長い道を歩んでいる。わずかの人たちが巨万の富
を得るシステムを推進する代わりに児童・老人・身障者を含む
すべての人に生活のための十分な最低水準を保障するシステム
を発展させている。

合衆国は大きさでも文化でも人々の多様性でもデンマークとは
非常に違った国である。しかし私たちはいくつかの重要な教訓
をデンマークから学べるのではないだろうか? 

貴方も我々が出来るほうに賭けよう。
――――――――――――――――――――――――――――


▼これは「制度」の問題なのだが、明らかに「制度」だけの問
題ではない。制度を支える「思想」が問題だ。生活保護という
「制度」が「制度」だけの問題ではないことを、ぼくたちはこ
こ数年で散々思い知らされている。


▼さて、ジャンジャンのコメント欄から浅田さんのコメントを
抜粋しておく。このサンダース議員は、同コメント欄で知った
が、ユダヤ教徒で、民主党で、社会主義らしい。


――――――――――――――――――――――――――――
▼浅田明    2013年 6月 3日 10:46

日本ではほとんど見られなくなった労働者の側にたった硬質の
意見でアメリカの良心を見たおもいです。

高福祉には高い税金が必要だがそのためには政府に対する国民
の信頼がなければいけないというご意見はその通りだと思いま
す。

ただ情報関連が経済の主力になった現在 消費税よりも国際協
調的にトービン税や証券(商品)取引税をつくるのが効果的だ
と思います。またそうなれば1/1000秒を争う現在の「異常」な
証券取引も「正常化」されるのではないかと思います。


▼浅田明    2013年 6月 5日 10:12

トービン税などの証券取引税は国際協調がなければ実現できま
せんがフランス・ドイツなどは積極的です。日本も2010年
のG20で法人税の最低税率を定めるよう提案したときはその
延長としてのトービン税実現に動く可能性があったように思い
ますが現在の安倍政権では望めません。それよりアメリカ・イ
ギリスを賛同させるのが大問題でしょう。

ただ現在主要国はドイツ以外財政危機に悩んでいますがそれは
江戸時代末期 商業が経済の主力になったのに農業中心の経済
に対応した税制で幕府・諸藩が財政難で苦しんでいた情況と同
じだとおもいます。そこに気が付けばアメリカなど意外に変わ
り身が早いのではないかという気もします。
――――――――――――――――――――――――――――


▼トービン税はたしかに面白いアイデアだと思う。

▼そういえば、「情報産業」で思い出したが、最近、気になるニ
ュースが二つあった。

一つは、「マイナンバー法」成立に関連した「週刊金曜日」の記
事(2013年6月7日号)。

今後伸びるであろう情報産業の会社として注目されている「II
J(インターネットイニシアティブ)」の勝栄二郎次期社長(元
財務事務次官)が、今後、自分の動きを報道したら訴訟を起こす
から、という意味のことを言って「週刊金曜日」に脅しをかけた
由。同記事ではアメリカと韓国の「個人情報流出」問題をリポー
トしている。

▼もう一つは、ブログで紹介しておいたが、「ガーディアン」の
大スクープである。

http://offnote.publog.jp/archives/7914437.html

アメリカには「PRISM(プリズム)」という監視プログラム
があるのだが、その「プリズム」に、なんとAOL、アップル、
フェイスブック、グーグル、マイクロソフト、スカイプ、ヤフ
ーやユーチューブ、Paltalk(音声チャットのソフトウェア)が
協力していた、というニュースだ。じぇじぇじぇ!

おっそろしいなあ。もうこうなったらgooしかないでしょ、と
いうことでさっきgooメールを取得してみました(根本的な解
決策でもなんでもない)。

offnote@mail.goo.ne.jp

▼この驚愕の大スキャンダルは、ワシントン・ポストとガーデ
ィアンがぶっちぎりのスクープをかましているが、日本語だと、
どの全国紙を読むよりもツイッターの

deepthroatさん(@gloomynews)
https://twitter.com/gloomynews

をフォローするほうが圧倒的に詳しくて正確な情報を早く知る
ことができる。この人、すごいです。

スクープの発端は、NSA(アメリカ国家安全保障局)が通信
大手のベライゾンから「全ユーザーの通話データを毎日取得し
ていること」を「ガーディアン」がすっぱ抜いたところから始
まったらしい。まあ、えらいことになるぜよ。

▼そういえば、先月5月、AP通信の記者たちの通話記録をオ
バマ政権がこっそり調べていた事実が報道されたような気が。
たしかテレビのニュースでもちょっとやっていたから、覚えて
いる人もいるのでは。

どこかの新聞で、ニクソン大統領時代のウォーターゲート事件
を比較して「APゲート」の幕開け、と書いていた気がする。
今回のスクープと関係あるのかな?

最近流行りの「ビッグデータ」の時代ということで、個人情報
=金の成る木ということで、ニッポンももうすぐ個人情報保護
法もへったくれもない社会になりそうだ。

で、情報産業利権で儲けまくる人間が出てくるわけだ。

いかん、「貧困と自由」とは別の話になってしまっているので
、続きはまた今度。

▼毎日出すのはやっぱ無理だね。ひと月に三回出せれば上出来
かなあ、ぐらいのつもりで。気長におつきあいください。

投稿、もちろんお待ちしています。


2013年6月10日 綴老
offnote@mail.goo.ne.jp


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